非日常的な空間・特別な場に大切なのは華やかさ。
そのためキャバクラの内装に安っぽいシャンデリアや家庭用のイスやテーブルを使うワケにはいきません。
キャバクラの内装工事費用は他業態の工事と比較しても高額になる傾向があります。
しかし,「キャバクラの内装工事費用は高額」と一口に言っても
「なにが」「どうして」高額になっているのか,なかなか把握できないものです。
今回は弊社が請け負った工事で実際に掛かった内装工事費用を元に内訳を解説していきたいと思います。
コラム担当者
株式会社プラスアンサー
足立 洋二郎
学生の頃から夜の業界で働いていた経験があり
30代を機にキャバクラ・ナイトクラブを中心に内装工事業に携わる。
実経験を生かした知識・提案力に定評がある。
キャバクラの内装工事総工費1500万円をグラフにしてみましょう。
これを工事費が高い順に項目を整理すると・・・
①意匠什器
②電気工事
③造作工事
④仕上工事
⑤什器(ソファー・テーブル)
⑥給排水設備工事
⑦その他工事(給排気・防災工事)
⑧その他
となります。
最も費用が掛かったのが意匠什器。
近い金額で電気工事、仕上工事の順になりました。
キャバクラの内装工事費はトータルの金額の高い・低いに関わらず,上記グラフ順に費用が掛かる傾向です。
次は各内装項目を詳細に説明します。
①意匠什器
(1)特注照明枠 (2)特注建具
別名 特注什器とも言われます。
建材メーカーが大量生産していない建材で,工務店や家具屋のオーダーメイドの作製となります。
メリットはオリジナルのサイズやデザインで制作が出来ること。
建材を指定したりデザイン性に優れたものを制作することが出来ます。
デメリットとしては基本的に高額になるといった点です。
キャバクラではVIPルームやエントランスの見せ場のシャンデリアなど,特別な空間を演出するために用いる場合が多いです。
特注照明枠 120万
特注建具 100万
+ 家具 45万
意匠什器小計 265万
②電気工事
次に費用が掛かるのが電気工事です。
電気工事はキャバクラやナイトクラブをつくる上で最も重要な工事と言えます。
その店の雰囲気の決め手となるのは照明です。
高級感を出したいのか、カジュアルさを演出したいのか…
照明計画で店のムード感はガラリと変わります。
そのため電気工事・照明計画は内装業者との念入りな設置計画・施工が必要です。
照明器具は使用する機材によってかなり値段が変わってきますが「高いから良い」「安いから悪い」と一概に言うことはできません。
LEDか白熱灯かといったところでも金額は変わります。
店舗で使う照明器具は,店内のコンセプトによって機能より造形を重視する場合があります。
典型的なものがシャンデリアと言えるでしょう。
オリジナル性・デザイン性が高い照明器具は高価である場合が多いです。
電機工事 85万
+ 照明器具 160万
電気工事小計 245万
③造作工事
造作工事では床・壁・天井の造作を行います。
スケルトン店舗だった場合,一からの床・壁・天井の造作となります。
しかし,スケルトン店舗だから居抜店舗より工事費が高いというわけではありません。
居抜店舗の場合,既存店舗のレイアウトが自身のイメージする内観でなかった場合,造作する前に解体工事が発生します。
解体工事費はもちろんのこと,解体して発生した産業廃棄物費もかかります。
今回は,既存の間仕切壁等がありましたが,ほぼスケルトン店舗のため一からの造作となりました。
造作工事 110万
+ 造作建材費 120万
造作工事小計 230万
④仕上工事
仕上工事では主に床タイル・壁紙などの施工をします。
床に張るタイルや,壁紙もデザイン性や種類・材質によって大きく値段が変わります。
塩ビタイルの場合,石目調・木目調・大理石調などのさまざまなバリエーションがあります。
用途も飲食店・事務所オフィスなど,さまざまな場所で幅広く使われています。
タイルカーペットや壁紙も同様,デザインにはたくさんのバリエーションがあります。
塩ビタイル・壁紙は1㎡あたり¥1000~数万円と値段はピンキリ。
「比較的安価なモノを使うか」「デザイン性に優れた海外製のモノを使うか」などの選択で予算はかなり変わってくるでしょう。
また高価ではありますが、本物の石やタイルを使うこともあります。
その場合、左官工事費+石材となります。
ポイントで用いるもの良いでしょう。
塩ビタイルは掃除のしやすさ・メンテナンスの手軽さに優れていますが,本物の石・タイルでしか表現できない味や色合いを演出することは難しいといった面も。
要所要所で建材を使い分けることが望まれます。
仕上工事 75万
+ 仕上建材費 155万
仕上工事小計 220万
⑤什器(ソファー・テーブル)
什器はお客様が最も内装に触れられる物で,座り心地・使いやすさはとても重要です。
座っていて疲れるソファーや使いにくいソファーでは楽しく飲めません。
また,キャストがお酒を提供しづらかったり居心地が悪いとサービスに悪影響が出ます。
店内の明るさ・雰囲気は把握できていても,ソファーの座り心地・テーブルの使いやすい高さ関係は見落としがちです。
十分な配慮,知識が必要です。
キャバクラのテーブルには主にガラス仕様・メラミン仕様の2種類使われます。
ガラステーブルの場合,金額はメラミン仕様の1.5倍程かかります。
店内の雰囲気を考慮して,内装業者と選定しましょう。
ソファーは居抜譲渡で買取ったソファーを再利用するケースもあります。
既存のソファーの張地だけ交換することで,新規でソファーを仕入れた1/3程度の費用で済ませることもできます。
デメリットもありますが,再利用して内装コストを抑えることも可です。
ガラステーブル 70万
+ ソファー 110万
什器小計 180万
⑥給排水設備工事
余程のことがない限り,キャバクラにおける給排水設備工事は高額にはなりません。
(大規模店舗・2フロア以上・既存のテナントに十分な給排水設備がない場合などを除く)
規模によって台数は変わりますが,基本的には冷蔵庫関連・シンクがあれば間に合います。
熱機器もIHで足りますし(電気容量に注意),他に使用するとしてもフライヤーくらいになるかと思います。
厨房機器は新規購入ではなく,中古品で揃えるのもコストを抑える手です。
ただ居抜譲渡で買取った中古品の厨房機器は傷んでいるケースが多いです。
コールドテーブルや製氷機は居抜店舗として売り出された時点で物件の電気契約ごと切れています。
次の買手が決まるまで数か月間稼働しないことによって故障しているといった場合が多いです。
給排水設備工事 45万
+ 厨房機器 65万
給排水設備工事小計 100万
⑦その他の工事
給排気設備工事では,主にエアコンの設置・給気口・換気口の設置を行います。
飲食店の場合は十分な給気・換気を必要とするため,フードやダクトの設置が必要となります。
しかしキャバクラの場合,食事の調理は家庭用フードで足りるケースがほとんどです。
給排気設備工事 90万
+ 防災工事 50万
その他の工事小計 140万
⑧その他
設計デザイン費 40万
施工管理費 40万
造作,木工事費(棚・什器の設置など) 5万
現場養生費 10万
+ 既存産廃,現場産廃 処分費 15万
その他費用小計 110万
設計デザイン費はピンキリです。
①有名デザイナーに依頼する場合(設計のみで施工は別途がほとんど)
②デザイナーがいる内装業者に依頼する場合(施工+設計)
③工務店に依頼する場合(施工のみの場合がほとんど)
金額は①から③の推移の順です。
まとめ
以上,弊社が請け負った工事で実際に掛かった内装工事費用の内訳になります。
キャバクラの内装工事にかかる予算感は把握できましたでしょうか。
キャバクラの開業は非常に先行投資がかかるビジネスです。
物件取得費・内装工事・キャスト,スタッフの募集・人件費・・・
飲食店と比べキャバクラの場合,開業するまでの縛りも多いです。
キャバクラには深夜営業・風営法等の為,開業できる区画・立地が限られます。
出店区画が,駅前や繁華街であったりと,物件取得費も高額になりやすいです。
出店コスト,内装をしっかりと把握して開業に挑みましょう!
TEL | 090-5761-8456 |
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